2020年07月19日

妊婦さんに対するコロナウィルスPCR検査の是非についての個人的見解

必要なのは、全ての無症状者への徹底的なPCR検査ではない。尾身会長「100%の安心は残念ながら、ない」【#コロナとどう暮らす】
https://news.yahoo.co.jp/articles/76bde7a7b42734f24689e307dbd175f66bdd6de7?fbclid=IwAR0jTEGPz8pYstus79SVbMbLI0HXTGVldSX4oAWuIuRMaZL_Rui5HBTXp-g

唾液使ったPCR検査 無症状の人も対象に 厚労省
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200717/k10012520241000.html?fbclid=IwAR3wd8dZbwsikjIym2sMN8Ow0h2huHDcDpslUJy8fSv9X3bHiJt5ieBbslo

最近長崎でもコロナウィルス感染症の患者が発生するようになってきた。

厚生労働省は、無症状の人にもコロナウィルスに対するPCR検査を対象にするとの方針を示したようだ。

これに伴い、たぶん産科領域でも、無症状の妊婦さんのPCR検査が奨励される可能性がある。

妊婦さんのPCR検査については、賛否が分かれるところであるが、私個人としては、全例にすべきではない・・と考える。

理由は・・
詳しくは、室月淳先生が、ツイッターや、その他SNSで、その有害性を詳しく書かれているので、詳しくお知りになりたい方は、検索してもらいたい。

要は、
1.一般的に有病率が低い状況下では、検査の有用性が低く、陰性だからと言って安心できるわけではなく、逆に混乱を招きかねない。

2.仮に偽陽性も含めて、陽性と判定された場合、厳重な管理や、分娩方法が変更され、不必要な帝王切開が増えてしまい、妊婦さんにとって、メリットがない。

3.陽性だからといって、妊婦さんにとって確たる治療法があるわけではなく、現在のところ。コロナウィルス感染により妊娠および新生児が重篤化したという症例が、すくなくとも日本のなかでは、ほとんど見受けられない。

などの理由である。

1.について・・
一般的に、このコロナウィルス感染について、全例のPCR検査をすべきでない・・という理由は、以下のYou Tubeで説明されているのが、一番わかりやすかったので、興味がある方は、ご覧いただきたい。
https://www.youtube.com/watch?v=jMIScCb04qs&fbclid=IwAR0aqxrZmWj3gsIM6sC_7yQKVQ36LwTPBnB5ekUn644zw9RatmvYhkAjlEI
ちょっと数学的で、難しいところもあるが、ざっくりいいうと、一般の人に不特定多数で検査しても、それ相当の間違いが発生し、それにより過剰診療せざるをえず、コロナウィルス感染以外の本当に医療を受けるべき人ですら、治療できなくなる可能性(いわゆる医療崩壊を起こす)があるということである。

2.3.について・・
帝王切開が決して悪い方法とは言わない・・が、今回の帝王切開の理由は、妊婦さんや新生児の重篤化を防ぐ目的ではなく、医療者の感染、院内感染を防ぐ意味合いが強いと思われる(そもそも、経腟分娩より帝王切開のほうが、医療者感染リスクが少ないか?と言われるとそこに疑問もあるが・・)。確かに、基幹病院が閉鎖になると大変なので、その処置が必要なことはわからないではないが、相当すの偽陽性者が含まれている可能性があるとすれば、それは問題である。帝王切開は決して安全にお産ができる方法ではなく、出血、感染、麻酔による合併症などなど、相当なリスクを含む開腹手術であるので、本当に必要なケースにのみ、帝王切開は行われるべき施術であり、安易にすべきではないと思うのである。実際、コロナウィルスよりも妊婦さんに対して重症化することが明らかなインフルエンザ感染でさえ、帝王切開することは通常ないのである。

世の中、過剰な情報や報道により、なんでも検査すれば安心・・という風潮があるように思えるが、決してそうではなく、不必要な検査はかえって、世の中を混乱に落とし込みかねないことを認識すべきである。

実際当院でも(他院でも、他科でも)、ちょっとした風邪症状の方は、来院される可能性がある。その人たちに全例コロナウィルスのPCR検査をしているか?と言われると、たぶん可能性がある方はするが、そうでない方は経過観察・・という症例が多いのではないだろうか?
今はまだ夏なので、これくらいですむが、この状況が持続していくと、これから、秋・冬に向かっていくと、いわゆる通常の“風邪”の患者さんも相当数来院されることになると、医療機関は相当混乱し、いわゆる医療崩壊することが予測される。
たぶん、私の同級生のなかにも、「なんでこんなに、しつこく話をするの?」と思っている人がいるかもしれない。私がしつこくこの発言をするのは、この先、不特定多数の人の検査の必要性を啓蒙することで混乱することが予測されるので、(たぶん過熱報道の影響もあり、世論はそちらの方に向かっている)、今後のその混乱(特に、妊婦さんに対しての不安を)を少しでも緩和できれば・・と思っているからである。

かくいう私も決して、コロナウィルス感染症をなめているわけではない。
私にも高齢の母がいるので、うつすと大変なことになりはしないか?またスタッフや家族に迷惑がかかるのではないか?分娩休止となれば、産科崩壊をおこすのではないか?といろいろなことを考える。

なので、すべきことをやる、要は、不要な人との接触を避ける(当然必要があれば仕方ないですが・・)、そういう場所には立ち入らない、手洗い、マスクなど人にうつさない、うつらないことを心がける(特に妊婦さんは最大10か月の辛抱です)・・など、対策はしなければいけない。が、不当に恐れすぎると、それが偏見になったり、誹謗中傷になったりして、心ならずも感染した人を傷つけ、挙句の果てには、その人の一生を左右することにするなりかねない。

長崎の産婦人科医会がもし全例PCR検査をすべし・・となれば、それに従わざるをえないし、濃厚接触者も含め、必要な方に速やかに検査することに対しての異論はないが、個人的には、PCR検査を安心のためだけに、闇雲にする必要はないと考えるし、それよりも、検査の如何にかかわらず、うつらない、うつさない、正しく恐れることを徹底することの方が重要だと考える。
posted by 池田産科−YOU−婦人科医院 at 12:59| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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