2017年10月15日

お産日記−コウノドリ感想文−

先日診療していたら、妊婦さんが、突然・・

「私、ここで産まれたんです」・・とおっしゃるので、「そうですか・・」と答えました。
すると
「私、先生から、取り上げてもらったんです」・・と言われる。
生年月日を確認すると、確かに、親父がなくなって、大学から一時帰院して、診療してた時期に合致していました。
今年の初め、私が同時期に当院でお産についた方が、お父さんになられましたが、お母さんになる方は初めてです。
まだ、あの当時は、医者になって2年ちょっとの時期で、怖さもあまり知らない時期でした・・。
でも、その方が、こうして、またここに戻って来られるのも、何かの縁・・大変うれしい限りです。

それからちょっとして、また、小学生のお子さんが、外陰部掻痒感で見えられました。
お母さんが「こんなに大きくなったんですよ」
子供さんは、ここで産まれたかは、関係ないので、無邪気に振る舞っていました。
産まれたときを覚えていたので、大変感慨深く、また、ここに帰ってきてもらって、これまた、大変うれしい気持ちでした。

先日コウノドリを見ました。
一例は、心室中隔欠損症。
四宮先生はすごいです。あの小さな欠損を、正確に診断できる技術は素晴らしいです。
実際私も数例見つけたことはありますが、現実的には、見落とされることが多く、出生後に心雑音で発覚することのほうが多いように思います。見つけられるケースは、その他に、例えば、赤ちゃんが小さいとか、心臓が大きい、形に異常があるとか、何かその他の部位に異常があるとか・・のケースが多いように思います。
ただ、本編でも出てくるように、単発の小さい欠損のみであれば、命にかかわるような異常になるケースは、そう多くないと思われます(油断はできないので、小児科の先生のフォローが必要になりますが・・)

二例目は、難聴のご両親のお産のケースでした。

この2つの症例は、確かに、ご両親や新生児に合併症があるケースですが、本題はそこにはないように思いました。
今回のテーマは、「お産後の不安」であったように思います。
難聴のお母さんが言います。「怖い」
お産が怖いのかと思いきや、怖いのは、陣痛、分娩に対する恐怖ではなく、お産後、子供を自分たちで育てられるか?の怖さだったのです。
1例目のお母さんも同じです。仕事との両立はできるのか?そこに不安が大きいようです。
分娩の不安は、お産が終われば終わりますが、子育ての不安は、それ以上に期間が長く、その現実と向き合わなければなりません。

現在長崎では、お産後のケアに力を入れていて、産後のフォローをしっかりするよう、助成も含めて、手厚く支援できるように、体制を作っている状況にあります。

働くお母さんが多い現代、まだまだ現在の日本では、子育てと仕事の両立は難しい面が多々あるように感じられます。特に初めてのお母さんは、その不安が大きいことは、想像に難くありません。
どうしたらいいのかは、行政の施策が必要で、十分にその行動を担保できるようにしてもらいたいものです。
ちなみに、医師である、下屋先生も産科医でありながら、もし子供ができたら医師を続けられるのか?という「怖さ」をもっておられるようでしたね。その明確な回答は得られずじまいでしたが、働いていることの如何にかかわらず、お母さんになる不安というのは、少なからずだれしも持っている・・ということが、この回のドラマの大きなテーマであったように思います。

そこで、コウノドリ先生は、いいます。「迷惑かけていいじゃない?」
そうですね。それが容認できるような、日本になってもらいたい・・私はそう思います。荻島先生はいいます。「子供が産めるってことは、未来のある場所だから・・」

産科医、周産期に携わる者は、産まれたときから、その女性にかかわることができます。それは、他科にはない、醍醐味だと思います。
確かに、当院のスタッフも入れ替わりはありますが、すくなくとも、私は、うちのクリニックが続く限り、必ずここにいます。
うちで、産まれたあかちゃん、うちで産んでくれたお母さん・・困ったことがあったら、どうぞこの、あなたが産まれたこの場所に、あなたが産んだこの場所に、帰ってきてください。
大したことはできないかもしれませんが、なにかお手伝いできることがあるかもしれません。愚痴をいうだけでも結構です。
とかく、いい時には、いい報告をたくさん受けますが、困ったときでもどうぞ、この場所に帰ってきてください。みなさんの産まれたときを知っているスタッフが、いつでもみなさんを待っています。「迷惑かけてもいいじゃない・・いいんです。」
私は、無事に、お産するだけが、私たちクリニックのスタッフの使命だとは思っていません。産科医の醍醐味でもある、女性の一生にかかわっていくことが、この小さなクリニックのいいところでもあり、メリットでもあると思っています。
その意味で、初めにご紹介した、2例の患者さんは、私にとって、とてもうれしい出来事だった・・・ということです。

まだまだコウノドリは続きますが、また、自分と重ね合わせて、考えながら見ていきたいと思います。

長文になりましたが、なにか感じていただければ幸いです。

しがない、産科医のつぶやきでした・・・。
posted by 池田産科−YOU−婦人科医院 at 12:07| Comment(0) | 診療日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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