2020年01月13日

2019年当院の分娩統計より少子化を考える

今年も、少ない症例ですが、当院の分娩統計を示します。

分娩総数 98例(−24例/前年)
経腟分娩 89例(90.8%)
帝王切開術 9例(9.2%) 選択的帝王切開術6例(6.1%)(前回帝切3例、骨盤位3例)、緊急帝切3例(3.1%)(分娩遷延による胎児心音低下3例)
分娩体位 側臥位52例(58.4%)仰臥位37例(41.6%)
会陰切開術 5例(5.6%) 縫合なし26例(29.2%)
無痛分娩処置 2例
分娩誘発 12例
児搬送 1例(高ビリルビン血症)(長崎みなとメディカルセンター)
母体搬送 3例 (切迫早産)(国立長崎医療センター)
母体紹介 4例(胎児奇形 1例、母体腎炎1例、FGR1例(大学)妊娠高血圧症1例(長崎みなとメディカルセンター))
初産 39例  経産 59例
早産例 3例 
35歳以上分娩 24例
35歳以上初産 9例

【総括】
当院の分娩件数は、2年ほど前より減少し、昨年は100例を割ってしまいました。
数年前も書きましたが、以下が長崎県の出生数です。(9月までです)
img088.jpg
長崎市では、当院開業当初は、400例/月を上回る月もありましたが、今は、400例はおろか、300例にも届く月はありません。
これをみても、長崎市の人口減少が、恐ろしいほどに急速に加速しているのがわかります。
なので、当院の分娩数が減少するのもうなずけると思います。

もう一つのデータは、下記です。
img087.jpg
これは当院独自にとったデータなので、長崎市を反映しているかどうかは、わかりません。
縦軸は、年齢、横軸は、経産回数(0は初産の方)を表しています。
左から 2019年、2017年、2009年の年齢構成および経産回数の構成です。
若干バイアスがかかっているかもしれませんが、全体的に、以前の二等辺三角形が、徐々に直角三角形になっているように思います。
要は、分娩自体が高齢化しているということを表しています。
また、経産回数0の方(青の楕円の部分)が、以前は、30歳を中心にギュッと詰まっていたところが、近年、20歳前後、30歳前後、35歳以上の3分極になっているように見えます。産婦人科でいうところの、至適年齢の層が薄くなり、若年、高齢の方の初めての出産が、相対的に増えているように思います。

今盛んに少子化が叫ばれていますが、まだ一般の方には、それほど実感がないのかもしれません。
それをまず実感するのが、産科医です。
たぶんその次が小児科、そして、幼稚園・保育園・学校となり、あと20年後には、経済が崩壊し、商業施設などがその煽りをうけることになり、とんでもない未来がまっているのではないかと予測します。

出産数が減ると、必然的に分娩費用があがり、また、分娩施設も休止、廃業に追い込まれるところが多くなり、さらに分娩数の減少、少子化が加速すると予測します。

本当に長崎、大丈夫なのでしょうか?
この統計をみると、将来が恐ろしくなります。

私自身は、行政に働きかける力はないので、こういう場で、現状をお知らせることしかできませんし、私が月に1回開催する安産会では、家族をもつ喜び、楽しさを、少しでも多くの人に伝えていただきたい、という啓蒙活動をこの1年くらい前から行うようにしています。私ができることはこれくらいですが、将来の子供たちのために何かできることはないか?と思い、伝えています。

また、このデータをみてわかるように、3人、4人の子供さんを持っているかたも、逆にそう少なくはありません。命がけで仕事をする・・といいますが、まさに、分娩・子育ては、命を懸けてやる仕事です。それに対する対価は、今は、全く皆無ですが、もう少し、その家族に対する評価をしてあげてもいいのではないでしょうか?若い世代にもそういう方はたくさんいらっしゃいますので、どうか行政の方は、そういう方たちが、貧困を味合わなくて済むように、いや逆に裕福になるくらいの手厚い手当を希望します。

今年1年、年頭にあたり、当院スタッフにも、少しでも多くの方が家族を持つことの楽しみを知っていただくように、どんな小さいことでもいいので、啓蒙活動をお願いした次第です。

私たち周産期に携わる者は、まずは、無事に分娩を終えることを生業としますが、このあまりにも急速な少子化に対して、なにかできることをやっていくこともひつようなのかもしれません。

最後になりましたが、この統計を取るたびに、関連病院の先生方には、一方ならぬご尽力をいただき、感謝の念に堪えません。
この場を借りて御礼申し上げます。

今年もよろしくお願い申し上げます。

posted by 池田産科−YOU−婦人科医院 at 17:47| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする