2024年09月24日

無痛分娩に対する個人的な見解

今日、三重大学の池田先生の講演を聞きました。

無痛分娩の功罪についてのご講演が一部ありました。

無痛分娩をすることで増えていそうな産科合併症は、子宮破裂、羊水塞栓、産科異常出血だそうです。

私も以前から言っている通り、陣痛の痛みはなければいい・・そう思います。

ただ、それが母体あるいは胎児の生命の危険を脅かす合併症を増やす要因になるなら、話は別です。

今まで、子宮破裂も羊水塞栓も滅多に遭遇しない母体合併症ですが、それを発症すると、母体の生命が危うくなります。

無痛分娩をすることで、まず必須となることが、誘発剤の使用と機械分娩(鉗子や吸引の使用)です。

痛みをとることで、陣痛の強さ、持続などの判定を機械に頼らざるを得ず、子宮破裂や、常位胎盤側剥離などの重篤な産科合併症を見落とされていることを懸念します。(私的には羊水塞栓は、常位胎盤早期剥離の合併症だと推測します)

麻酔科が施術すれば安全と思っている方が多いと思いますが、確かに、麻酔の効果や後遺症についてはそうかもしれませんが、それ以上に頻度の高い、しかも産科的な重篤な合併症は、それだけでは予見しようがないと考えます。

硬膜外麻酔による無痛分娩法は、うまく使えばいい方法だと思いますし、私も必要なら積極的に施術しますが、経過順調な方で、もしくは希望で計画分娩との併用で無痛分娩を行うと、少なからずある一定の頻度で、このような不幸な事態が起こると想定され、(ほとんどの人がうまくいくので、不幸な転機を迎える人が圧倒的に少ないのでクローズアップされないかもしれない・・)、数が増えれば増えるほど、その実数が増えると思います。

また時間内に産まれないので・・という理由で安易に?帝王切開するのも、私的には納得できないところです。
なぜなら、帝王切開は、リスクの高い分娩法だからです。

すべての医療行為は、希望されたからする・・ではなく、必要だからする・・が大原則だと考えます。

私的には、無痛分娩をするのはやぶさかでありませんし、その選択肢があることは重要なことです。しかし、以前より適応はあまくなるかもしれませんが、希望された方すべてに、また商業的あるいは流行にのって施術するのではなく、医学的に必要と判断された方に適応を絞って、無痛分娩を施術するのが、重篤な産科合併症を減らす一番の良策だと考えます。

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2024年09月21日

新生児蘇生講習会

今日は16時から、長崎みなとメディカルセンターNICU斎藤先生、長崎大学松井先生のご協力のもと、当院で、新生児蘇生講習会を開催しました。

大変勉強になりました。

わざわざお時間を作っていただき、誠にありがとうございました。
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2024年09月06日

22年目の誕生日

今日9月6日は、当院22回目の開院記念日です。

絶滅危惧種と言われ、お産激減の中、どうにかよれよれになりながら、ここまで続けて来れました。

これもひとえに、患者さんはもちろんのこと、当院の献身的スタッフのおかげです。

また、うちのかみさん、家族にも、本当に感謝しかありません。

また、当院を支えていただいている、基幹病院の先生、近隣の先生方、業者の方々にも感謝です。

本当にありがとうございました。

まだまだ厳しい現状が続きます。

私も還暦。さすがに開業当初より、体力は落ちてきました。

しかし、分娩施設が激減するなか、私は、お産しかできない、でもお産好きな産科バカなので、自分ができる限り、東長崎の地域の医療に貢献したいと思っています。

引き続き、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。
posted by 池田産科−YOU−婦人科医院 at 09:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月04日

東長崎地区老舗の病院

今、通夜から帰ってきた。

東長崎地区には、明治・大正・昭和・平成・令和と代々続いている病院(診療所)が3つあった。

そのうち2つは、矢上にあり、池田龍天堂(当院の隣にあった私の本家)と千綿病院。

当院の本家は3年前に、私のいとこが逝去し、現在は廃院になっている。

その時、千綿病院の院長である、大久保洋先生から、「うちと池田は矢上の昔からある病院で、どうにか頑張って守っていきましょうね。次世代は次の者たちが考えるでしょうが、少なくとも自分たちの時代では・・・」
と言っていたことを思い出す。

彼は、小学校、高校、大学の後輩であり、私が信頼するこの地区の数少ない内科医であると言っていい。
また、育ってきた環境が似通っているので、お互いが共鳴できることがたくさんあった。

奥様ともお話したが、彼も私同様、母校が好きで、矢上が好きで、診療が好きで・・
今年久しぶりに行われる、矢上くんちのコッコデショも、元気であれば、楽しみにしていたことでしょう。

知識、技術もさることながら、患者には優しく、また自分の専門外である産科・婦人科のことについては、勝手に投薬などすることなく、必ず相談してくれていた。簡単なように思えるが、なかなか他科の先生に相談することは、特に開業してからはそうたやすいものではない。

東長崎地区の診療についても本当によく考えてくれていた
電話で相談しても、忙しい時間を割いて、一つ返事で紹介を受けてくれてた。
当院の職員も大変お世話になった。

イケメンでナイスガイな内科医だった。

コロナの時も自分の体調も悪かっただろうに、献身的に頑張っておられた。

57歳の若さでの他界。

本当につらく、無念でならない。

やせ細った尊顔を拝見し、最後の最後まで、患者さんのために診療し、文字通り身を削って、矢上のため、東長崎地区のために、頑張った来たのだと心が痛んだ。

もう気にすることはない、ゆっくり休んでください。

本当にお疲れさまでした。

合掌。
posted by 池田産科−YOU−婦人科医院 at 20:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年09月03日

お産日記ー当院での無痛(和痛)分娩ー

他院からご紹介された、中国籍の方。

どうしても無痛を希望したいとのことでのご紹介でした。

当院では、医学的適応による無痛(和痛)分娩をしております。

今回痛みに対して、恐怖心があまりにも強かったので、十分にリスクを説明した上で、計画しました。

朝4時、破水で来院。
明らかに破水しており、まだ子宮口は開大不十分

まだ我慢できるとのことで、硬膜外チューブ挿入し、待機しました。

9時診察で、3−4p開大、痛み強くなり、鎮痛剤投与開始し、陣痛促進剤投与開始。

痛みは十分にとれ、昼食も普通に食べられました。

15時になり、お尻を押してくる感じがあり、子宮口は全開大。

もう少し鎮痛剤投与をしようかとも思いましたが、陣痛がを弱く、力む感覚がないと、吸引分娩する必要性があると考え、本人の同意を得て、鎮痛剤の追加投与を中止しました。

スタッフの指導もあり、上手に力みを加えることができ、16時ころ無事分娩になりました。

最近無痛分娩が流行っていますが、むやみに適応を広げると、促進剤や吸引分娩により過強陣痛による子宮破裂や常位胎盤早期剥離、新生児の帽状腱膜下血腫などのリスクだけが高まるので、ご希望のある方すべてに・・というのは、賛同しかねますが、適応を絞れば、十分満足できるお産になると思います。
実際、陣痛の強さを機械だけに頼るので、陣痛が強すぎたり、うまく力みが入らなかったり・・というリスクが伴います。

ただ、最後は陣痛を感じていただき、上手に力みを加えることで、結局は完全な無痛とはなりませんので(なので、和痛と表現しています)、ちょっと大変ですが、無事お産になりました。

本人にも「大変だったね」と言いましたが、「大丈夫でした」とのご返答でした

無事のお産、本当におめでとうございます。お疲れさまでした。
posted by 池田産科−YOU−婦人科医院 at 19:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月30日

分娩施設減少に憂慮

https://news.yahoo.co.jp/articles/d6e3bbb222b575058a38ff5e8599b5e1ae137101
11月から産科休診 医師の確保次第、再開見込み 名瀬徳洲会病院

私にとっても、かなりショックな報道でした。

名瀬徳洲会病院の小田切先生とは、直接の面識はないものの、当院の患者さんが名瀬にいったん里帰りした際、出血して、対応していただきました。その時以来のフェースブック上のお付き合いです。

私も、五島市に6か月間、上五島に2年間いたので、離島医療の大変さは重々承知しています。

ほとんど島内からでることはありませんし、搬送するにも天候などの制約があり、本当に大変です。

そんな中、17年間も離島医療にご尽力された先生には、敬意しかありません。

しかも、妊婦さんがお産された際には、ソフトドリンクで乾杯したり、院内の緊急のために蘇生の講習会を定期的に開いたり、無介助分娩の対応をしたり・・。非常に熱心な先生で、向学心・技術の向上など、大変すばらしい先生だと思います。

そんな素晴らしい先生が、島内から去られることは、奄美のお産をされる妊婦さんにとっては、大変な損失だと思います。

そんななか、先生に感謝の意を伝えたいと、お産された妊婦さんが、署名を立ち上げられました。
https://www.change.org/p/%E5%90%8D%E7%80%AC%E5%BE%B3%E6%B4%B2%E4%BC%9A%E7%97%85%E9%99%A2%E7%94%A3%E5%A9%A6%E4%BA%BA%E7%A7%91%E3%81%A717%E5%B9%B4%E9%96%93%E9%A0%91%E5%BC%B5%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%82%8C%E3%81%9F%E5%B0%8F%E7%94%B0%E5%88%87%E5%85%88%E7%94%9F%E3%81%AB%E6%84%9F%E8%AC%9D%E3%81%AE%E6%B0%97%E6%8C%81%E3%81%A1%E3%82%92%E4%BC%9D%E3%81%88%E3%81%9F%E3%81%84?utm_source=share_petition&utm_campaign=psf_combo_share_initial&utm_medium=facebook&utm_content=fht-490176774-ja-jp%3A6&fbclid=IwY2xjawE96hZleHRuA2FlbQIxMQABHey0Z7k04l65EOfJm1FymzZOROl2bazfK17La9ArMDhZ3k0LXPxfzRwWbg_aem_vQzVaTYHB2ghe4PZM3J5Tw

名瀬徳洲会病院産婦人科で17年間頑張ってくれた小田切先生に感謝の気持ちを伝えたい!

現在すでに1700人超もの方の署名が集まっています。
これをみても、この先生がいかに素晴らしい先生なのかがわかります。

分娩休止は、やはり少子化の影響は拭い去れないでしょう。それに伴い、病院収益の減少、さらには、働き方改革による人材不足・・など。

この方が書いておられるように、分娩が休止になり、
・自分でお金を払ってでも島外で出産する人
・お産を諦める人
・自宅出産をする人
が増えることが考えられます。

これで本当に、分娩の安全・少子化の対策になるのでしょうか?

これは、なにも離島に限ったことではありません。

本土でも分娩施設の休止・廃止が増えており、安全を確保することが難しくなりつつあります。

現に長崎でも、医師の高齢化もあり、この数年で、分娩施設はかなり減少してきています。

集約化も必要でしょうが、妊婦さんの利便性は明らかに低下します。

周産期・お産に熱心に取り組んでおられる先生が、分娩休止を余儀なくされることに心が痛みます。

確かにお金は必要です・・が、古いと思われるかもしれませんが、本当にお産好きな周産期スタッフは、今まで自分の時間を削り、昼夜問わず、妊婦さんがつつがなくお産が完遂するように、お金とは別のところで献身的に戦ってきました。どうにか踏ん張れる手立てがないものか・・。この先、妊婦さんの安全を確保できるのか?

周産期管理の将来を憂慮せざるをえません。


posted by 池田産科−YOU−婦人科医院 at 10:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月11日

当院夏まつり

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本日は当院夏まつり、ならびに恒例の写真撮影会でした

Ike cafeの影響もあり、お母さんもお友達がたくさんおられ、楽しく撮影会できました。

子供さんも元気そうでなによりでした。

帰省中だったとのことで、福岡からも来ていただき、たくさんのご参加ありがとうございました。

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写真は厨房スタッフからのケーキと看護スタッフからの手作り写真フレームのプレゼントです。

いい休日をお過ごしください。
posted by 池田産科−YOU−婦人科医院 at 11:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月07日

長崎本当に大丈夫?

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衝撃的データ・・

先月6月の長崎市内の出生数は・・127件

今まで、こんな数字みたことありません。

衝撃受けているのは、私だけでしょうか?

行政の人は、しょうがないと諦めているのでしょうか?

県内でもほとんど黒字はありません。

以前から、早急に対策しなければ・・と言ってきましたが、本当に10年、20年後の長崎はやばいことになります。

いろいろすべきことはあるでしょうが、この出生数の減少は、異常すぎますし、今の対策ではまったく不十分です。

もっと大胆に変化を加えなければ、長崎の未来はない・・と思います。
posted by 池田産科−YOU−婦人科医院 at 16:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

政治家・製薬会社への切実なお願い。薬出荷調整について

Xの投稿で、衆議院・小泉進次郎氏の子どもさんが発熱し、病院へ受診し、薬処方を受けた時、「今、この薬は出荷調整に入っているので、別の薬をだしますね」と言われ、危機感を感じたとのこと。

コロナ前から、少しずつ言われ続けていて、危惧した面はありました。

コロナ禍中は、咳止め、鎮痛剤など、需要が高まったための出荷調整か・・と半ばあきらめていましたが・・

最近になり、それが顕著となってきました。

特に、新薬と言われる値段の高い薬は、出荷調整があまりないのですが・・・

以前から使われている、特に値段は安価ですが、絶対必要な内服・注射薬が軒並み、出荷調整で入らなくなっています。

産婦人科的には、ホルモン剤(一部の注射薬はすでに製造中止になっています)、麻酔薬(これがなくては、無痛分娩などできません)、などです。

産婦人科医としてやってきて、40年弱、今まで使い続けていた薬が、なくなるのはとても不便ですし、それの代替品がないものですら、製造中止されています。

製薬会社のMRからは、原材料がないとか言われますが、本当でしょうか?そんなに急に・・?と疑ってしまいます。

邪推ですが、薬があまり安価であるため、製薬会社の利益がなくなる(下手すれば赤字になる)ので、出荷調整や製造を中止しているように思えます。

今のままでは、不正出血の処置や、無痛分娩・帝王切開などの麻酔などにも多大な影響が出てしまいます。

どうか、必要であった薬を早急に調査し、必要な薬の再販、供給量の不足を補う施策をうってください。

必要な薬の薬価が安価すぎるのであれば、今の倍、いや10倍でもいいと思います(実際、同じ効能の新薬は既存品の10倍くらいのものもあるようです。それくらい、薬の値段が安いと思います)

ワクチンの開発も必要でしょうが、日々診療しているものにとっては、今まで使っていた薬がなくなるのは、とても不便で、診療に支障をきたします。

大人の事情での駆け引きはやめていただき、ぜひ早急に対処していただくことを、切に、切に、切に、望んでします。

このような意見を持っている医師は全国にたくさんいるはずです。
もし、このブログを見られた政治家・医師会の方、製薬会社の方、ぜひ、ご対応よろしくお願いいたします。

posted by 池田産科−YOU−婦人科医院 at 01:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年08月02日

矢上町の街中華ーあたか飯店ー

https://nagasaki.keizai.biz/headline/2258/?fbclid=IwY2xjawEZHEZleHRuA2FlbQIxMQABHX9KOhm-KSWf1POPf-yPWZT-93jU6oeQ7r8p4fcRXYtY4mq-cG4ttm1R9A_aem__Bm-VLSbWkYzRom4vQRDhA

当院から歩いて1分、街中華 「あたか飯店」さんの紹介です。

私が小学校4年生のときにできたと思います。

開店時は50円でラーメン食べ放題でしたので、50円握りしめて、ラーメンを食べに行った思い出があり、それ以来、”あたか”のラーメンを食べると、懐かしい気持ちになります。

私が好きなのは、皿うどん・太麺、最高です。長崎特有の少し甘い餡の味付けです。
以前、出前していただいていた時には、長崎ではあるあるの、リポビタンDの瓶にソースが入ってきていました。


弟さんが突然ご逝去され、もう閉店されるのか?と思っていましたが、復活していただいて、本当に良かったです。

ちなみに、つい先日、うちのかみさんと、さっそく食べに行きました。
プレオープンのとときは、太麺皿うどん、2回目はラーメン&みにチャーハンを頂きました。

味が変わっているか不安でしたが、昔のままでした。
お聞きしたら、お母さまと以前おられた料理人さがされているそう。

もし、当院近くに来られた際は、行ってみてください。



posted by 池田産科−YOU−婦人科医院 at 11:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする